生涯教育システムの目的

 診療放射線技師は安全かつ良質な医療を国民に提供する重要な役割を担っており、高度医療に即応し国民への利益追求を常に目指さなければなりません。この生涯教育システムは、会員の主体性を重んじるとともに継続教育の規準と目標を明確にし、それにより得られる医療人としての資質の向上をもって国民の健康増進、および生活の質の向上に貢献することを目的としています。

 このため、本生涯教育システムは診療放射線技師養成教育課程にて不足している医療人として最低限必要な科目を学習することや、養成教育の高等教育化への取り組み、そして国民に安全かつ質の高い医療を提供することなど、診療放射線技師の職業の発展を考えるとともに国民の視点に立って作られたシステムです。本会会員のみならず全ての診療放射線技師は、医療人としての本質を追求し、診療放射線技師の質の向上と自己研鑽に励むとともに、真の医療を国民に提供し社会の趨勢に応えていくことが求められています。

 本会では、2003年度に運用を開始した現在の生涯教育システムを趨勢の変化に対応させるため、会員自らが到達目標を把握し日常診療における習熟度レベルを可視化できる、クリニカルラダー方式を取り入れた新しい生涯教育システムを構築し、2022年度から開始します。

新生涯教育システムの概要

  日本診療放射線技師会では、会員が自らの日常診療における知識の習熟度レベルと到達目標を把握できる、クリニカルラダー方式を取り入れた新生涯教育システムの構築を行いました。
 本会では「知識的ラダー」を担うものとし、知識レベルと継続学習を全国統一のものさしで評価することとしました。各施設で評価する「技能的ラダー」と合わせて活用していただくことを考えています。 
 新生涯教育システムは、クリニカルラダーおよびマネジメントラダーから成り、表1に各レベルの到達目標を示します。レベル1は新人教育、レベル2はジェネラリスト、レベル3からはスペシャリストの教育とし、レベル4を「日本診療放射線技師会が目指す専門診療放射線技師」を想定しています。
表2に現在の生涯教育システムとの整合性を示します。
表3に示すようにレベル3からは、スペシャリストの教育として、クリカルラダーは「画像診断系」と「放射線治療系」に分かれ、「管理職教育」としてのマネジメントラダーも構築しています。
表1 新生涯教育システム各レベルの到達目標 

     クリニカルラダー     マネジメントラダー
レベル5
(研究・教育)
専門の知識・技術を活かし創造性を発揮し、教育、研究ができる レベル5
(部長・技師長)
医療経営に参加し社会に貢献できる
レベル4
(スペシャリスト)
卓越した知識・技術を活かし専門性が発揮できる JARTがめざす専門診療放射線技師 レベル4
(技師長・副技師長)
部門管理をした上で他部署との連携でチーム医療を実践できる
レベル3
(スペシャリスト)
知識・技術を活かし日常業務の質向上、後進の指導等ができる レベル3
(主任)
部署・部門の管理ができる
レベル2
(ジェネラリスト)
日々進歩する標準医療を担保できる(科学的根拠に基づく医療の実践)
レベル1
(新人教育)
常の放射線診療に必要な基礎知識を身につけ、医療安全を担保できる
表2 現在の生涯教育システムとの整合性
技師格学術
カウ
ント
クリニカルラダー認定資格等         マネジメントラダー職位学位取得が望ましい
マスター 3000 レベル5 研究・教育 レベル5 部長・副部長等
以上の他部門と
経営に関わる管理職
博士
シニア 1000 レベル4 JARTが認める専門技師等
JARTがめざす専門診療放射線技師
レベル4 技師長・課長等の部門長 修士
    レベル3 ・ 臨床実習指導教員
・ 医療画像情報精度管理士
・ 放射線機器管理士
・ 放射線管理士
・ 放射線被ばく相談員
・ 各認定診療放射線技師
レベル3 係長・主任等
部門等の中間管理職
 
アドバンス 300 レベル2 ・ 各基礎技術講習      
    レベル1 ・ 感染対策
・ マナー
・ 放射線被ばく
・ 看護学
・ 救急医療学
・ 医療安全学
・ 医療社会倫理学
     
3 新生涯教育システムの全体像

新生涯教育システムへの暫定移行措置

 新生涯教育システム開始後、1年間の暫定移行期間(下記スケジュール参照)を設け、次の条件で全会員を新生涯教育システムへ移行します。
 暫定移行を実施するにあたり、各会員の現状把握のための自己申告調査を実施します。
     暫定移行措置スケジュール
     暫定移行を実施するための自己申告調査 2022年5月9日〜2023年3月31日
     暫定移行実施期間           2022年5月9日〜2023年3月31日

各レベル認定の仕組み

 各レベルは、次のように認定されます。
(1) クリニカルラダー レベル1  ラダー項目に対応したセミナー、e-ラーニングコンテンツをすべて受講し、Web試験に合格することでレベル認定されます。フレッシャーズセミナーはここに含まれます。
(2) クリニカルラダー レベル2  クリニカルラダー レベル1が認定された上で、5年の経験年数に加え、基本的には、診療放射線技師基礎講習 基礎技術コースをすべての科目で受講修了することでレベル認定されます。
 都道府県(診療)放射線技師会等で開催する講習会においても、JARTが定める各学習目標の60%の内容を担保しているものは対象とします。
(3) クリニカルラダー レベル3  クリニカルラダーレベル2が認定された上で、放射線管理士、放射線機器管理士、医療画像情報精度管理士、臨床実習指導教員、放射線被ばく相談員のうち2つの認定を取得し、さらにクリニカルラダー画像診断系または放射線治療系の中項目を2つクリアすることでレベル認定されます。画像診断系、放射線治療系の両方のレベルを取得することも可能です。
(4) クリニカルラダー レベル4  詳細が決まり次第公表します。
(5) クリニカルラダー レベル5  詳細が決まり次第公表します。
(6) マネジメントラダー レベル3  クリニカルラダーレベル2が認定された上で、マネジメントラダー レベル3において、研修によりクリアできる項目を100%、e-ラーニングによりクリアできる項目を60%受講することでレベル認定されます。
(7) マネジメントラダー レベル4  マネジメントラダーレベル3が認定された上で、マネジメントラダー レベル4において、研修によりクリアできる項目を100%、e-ラーニングによりクリアできる項目を60%受講することでレベル認定されます。
(8) マネジメントラダー レベル5  マネジメントラダーレベル4が認定された上で、マネジメントラダー レベル5において、研修によりクリアできる項目を100%、e-ラーニングによりクリアできる項目を60%受講することでレベル認定されます。

各レベルを維持する仕組み

 継続して学習する仕組みとして、クリニカルラダーには学術受講カウント、マネジメントラダーにはマネジメントカウントを使用します。
(1) クリニカルラダー  認定されたレベルを維持するためには、1年間に30カウントの学術受講カウントを必要とします。
 レベルを取得した翌年度4月1日を始期とし、毎年度3月31日に確認、不足している場合は会員情報システムのマイページにアラートを表示します。
 その場合、翌年度を含めて2年間で60カウント取得することでレベルが維持できます。
 ただし、次項で示す暫定移行措置でラダーのレベルクリア条件を満たしていない場合は、ラダー条件のクリアが必要となります。
 また、次項「新生涯教育システムへの暫定移行措置」で示す暫定移行措置によりラダーレベルが決まった者に対しては、本来のレベルクリア条件を満たしていないので、60カウントの取得に併せてラダー条件のクリアが必要となります。
 2年間でカウントが不足する場合は、レベルが1段階下がります。ただし、レベル2までは下がることになりますが、レベル1に下がることはありません。
(2) マネジメントラダー  認定されたレベルを維持するためには、1年間に10カウントのマネジメントカウントを必要とします。
 レベルを取得した翌年度4月1日を始期とし、毎年度3月31日に確認、不足している場合は会員情報システムのマイページにアラートを表示します。
 その場合、翌年度を含めて2年間で20カウント取得することでレベルが維持できます。
 2年間でカウントが不足する場合は、レベルが1段階下がります。
 マネジメントカウントは、マネジメント研修会、日本診療放射線技師会人材シンポジウムの他、日本診療放射線技師会が承認するマネジメントセミナー等の参加で取得できます。また、指定のレポートを提出することで10カウント取得できるので、それでもレベルが維持できます。
 レベルが下がった場合、1年間で60カウント取得すれば前のレベルに復活できます。
 ただし、「新生涯教育システムへの暫定移行措置」で示す暫定移行措置によりラダーレベルが決まった者に対しては、本来のレベルクリア条件を満たしていないので、60カウントの取得に併せてラダー条件のクリアが必要となります。

レベルを確認するしくみ

 ご自身のクリニカルラダー、マネジメントラダーの状況は、会員情報システム(JARTIS)の「ラダーの取得情報を確認する」から確認することができます。
(2022年5月9日から表示されます)

カウントの定義

 本生涯教育システムにおけるカウントの定義は1時間の学習につき1カウントとなります。ただし、国際学会(ISRRT、AACRT、EACRT)参加については1時間の学習につき2カウントとなります。
  • カウントの定義:1時間の学習につき、1カウント
  • 国際学会の参加:1時間の学習につき、2カウント

カウントの付与

 生涯教育システムに関連するカウント諸表を以下に示します。なお、新生涯教育システムで各レベルの維持に使用するカウントは、講習会、セミナー、学術大会等への参加実績に基づき付与される学術研修カウント及び、マネジメント関連の講習会、学術大会等への参加実績に基づき付与されるマネジメントカウントです。

学術研修カウント

 学術研修カウントは、診療放射線技師基礎講習の医療基礎コースや基礎技術コース、応用技術コース、各分科会等が企画開催する生涯教育セミナー、認定資格を取得するための講習会(認定講習会)などの受講、日本診療放射線技師会が認定する認定資格の取得、日本診療放射線技師学術大会での研究発表や参加などにより得られるカウントです。
 表4は診療放射線技師基礎講習医療基礎コースの受講カウントおよび認定カウントになります。
 また、表5は診療放射線技師基礎講習基礎技術コースおよび応用技術コースの受講カウントおよび認定カウントになります。
 受講カウントはそれぞれの講習会を受講することで付与されるカウントです。
 認定カウントは講習会受講後に実施される確認試験、もしくはe-ラーニング受講後に実施される確認試験に合格することで付与されるカウントです。
 表6は分科会等が企画開催する生涯教育セミナーで付与されるカウントです。
 表7は、各認定講習会による受講カウントおよび認定カウントとなります。
 なお、JART共同認定資格については、JARTが認定機構に参加している団体が認定する認定資格となります。
 診療放射線技師基礎講習医療基礎コースについては、趨勢の変化に対応するため、大学等の単位互換を行わず現在、診療放射線技師に必要な内容への見直しを図り、看護学及び救急医療学における実習は外すこととしました。このことから、大学等における履修による受講免除も行いません。
 日本診療放射線技師学術大会や日本診療放射線技師会が認定する国際学会などでの研究発表を行った場合は、参加登録することで自動的にカウントが付与されます。
 学術大会への参加によるカウントは1時間につき1カウント付与されますが、学会当日に必ず会員カードによる受付をする必要がありますので注意してください。
 なお、表8に学会研修会によるカウントを示します。JARTが認定した国際学会は現在のところ、ISRRT、AACRT、EACRTとなります。
 都道府県(診療)放射線技師会などが主催する研修会やセミナーなどでも学術研修カウントが付与されることがありますが、主催者からの事前申請が必要となります。カウント付与の対象となるかどうかは必ず主催者にお問い合わせ下さい。
 表4 診療放射線技師基礎講習 医療基礎コース
科目研修カウント認定カウント
看護学 20
救急医療学 20
医療安全学 20
医療社会倫理学        20

表5 診療放射線技師基礎講習 基礎技術コース、応用技術コース

科目研修カウント認定カウント
一般撮影 20
乳房撮影 20
消化管撮影 20
X線CT検査 20
MRI検査 20
核医学検査 20
血管造影検査 20
超音波検査 20
放射線治療 20
画像等手術支援 20
腹部画像診断検査法と異常所見 20
 表6 分科会等が企画開催する生涯教育セミナー

科目研修カウント認定カウント
放射線機器管理士 プログラムに応じて
1カウント/1時間
なし
放射線管理士 プログラムに応じて
1カウント/1時間
なし
医療画像情報精度管理士 プログラムに応じて
1カウント/1時間
なし
放射線治療 プログラムに応じて
1カウント/1時間
なし
消化管画像 プログラムに応じて
1カウント/1時間
なし
読影 プログラムに応じて
1カウント/1時間
なし
Ai プログラムに応じて
1カウント/1時間
なし
検査説明 プログラムに応じて
1カウント/1時間
なし
臨床実習指導教員 プログラムに応じて
1カウント/1時間
なし
骨関節撮影 プログラムに応じて
1カウント/1時間
なし
画像等手術支援 プログラムに応じて
1カウント/1時間
なし
放射線被ばく相談 プログラムに応じて
1カウント/1時間
なし
災害支援 プログラムに応じて
1カウント/1時間
なし

表7 認定

認定         認定資格研修カウント認定カウント
JART認定資格 放射線管理士 20 100
JART認定資格 放射線機器管理士 20 100
JART認定資格 医療画像情報精度管理士 20 100
JART認定資格 臨床実習指導教員 20 100
JART認定資格 放射線被ばく相談員 20 100
JART認定
診療放射線技師
Ai認定診療放射線技師 20 100
JART認定
診療放射線技師
下部消化管認定診療放射線技師 20 100
JART認定
診療放射線技師
画像等手術支援認定診療放射線技師 20 100
JART認定
診療放射線技師
災害支援認定診療放射線技師 20 100
JART共同認定 放射線治療専門放射線技師 なし 100
JART共同認定 X線CT認定技師 なし 100
JART共同認定 磁気共鳴専門技術者 なし 100
JART共同認定 核医学専門技師 なし 100
JART共同認定 救急撮影認定技師 なし 100
JART共同認定 放射線治療品質管理士 なし 100
JART共同認定 血管撮影・インターベンション専門
診療放射線技師
なし 100

表8 学会研修会

学会名分類付与単位学術研修カウント
日本診療放射線技師学術大会 研究発表
座長
参加
1回につき
1回につき
1時間につき
45
15
JARTが認定した国際学会
(ISRRT、EACRTなど)
研究発表
座長
参加
1回につき
1回につき
1時間につき
90
30
JARTが承認した研修会等
(事前に申請があったものに限る)
参加 1時間につき

マネジメントカウント

 マネジメントカウントは、表9により付与されます。研修会等に参加し、マネジメントカウントを取得したときは、研修カウントも付与されます。
          マネジメントカウント
日本診療放射線技師会マネジメント研修会
日本診療放射線技師学術大会人材育成シンポジウム
日本診療放射線技師会が承認するマネジメント研修会
監督管理の実践
マネジメントラダー項目における小項目3つの内1つをレポート提出
10

著述カウント

 新生涯教育システムへの移行に伴い、2022年度より著述カウントは廃止することとしました。
 ただし、これまでに取得したカウント、記録が取り消されることはありません。
 今後も著書や学術論文の実績を会員情報システムへ申請いただくことはできます。
 自己の記録としてご活用いただきたいと考えています。

学位カウント

 新生涯教育システムへの移行に伴い、2022年度より学位カウントは廃止することとしました。
 ただし、これまでに取得したカウント及び技師格称号が取り消されることはありません。

社会活動カウント

 社会活動は日本診療放射線技師会が実施する調査事業への協力や診療放射線技師の専門性を生かした公益事業を指しており、社会活動カウントはこれらの事業に参加もしくは協力した者に対して付与されます。なお、平成28年度から社会活動カウントについては生涯学習から切り離して運用することになりました。

生涯教育の到達目標と称号

 新生涯教育システムへの移行に伴い、2022年度より、アドバンス診療放射線技師、シニア診療放射線技師、マスター診療放射線技師の新たな認定は行いません。
 すでに認定を受けている方は、新生涯教育システム開始時に対応するレベルへ暫定移行を行います。

表彰制度

学術カウント取得上位者

 生涯教育基本規程第6条に基づき、生涯教育に積極的に取り組んだ診療放射線技師に対して表彰を行います。表彰者は10名以内とし、賞状と副賞(盾)を授与します。
 本表彰の対象とするカウントは、対象年度におけるJART主催講習会受講カウント、学術大会参加カウント、学術大会発表カウント、都道府県技師会学術参加カウント、JARTが認定した国際学会発表カウントとし、学位実績、著書、論文、座長カウントは対象としません。また、表彰対象者は日本診療放射線技師会員のみとし、一度表彰を受けた者は対象となりません。なお、現職の日本診療放射線技師会役員は対象となりません。
 継続して生涯教育に取り組んでいる会員を表彰する制度については、今後検討する予定です。
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